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米国、北朝鮮への軍事攻撃めぐる具体的検討が大詰め…政府高官「さまざまな選択肢準備」

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 7月28日午後11時42分頃、北朝鮮中部より弾道ミサイルが発射され、米国を射程距離に収める可能性があるとみなされている。これに対して、CIA(米中央情報局)のポンペオ長官は、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮について「過去の政権は平静を装ってきたが、その時期は過ぎた。そのことについては大統領も同意するだろう」と述べ、強い危機感を示した。その上で「大統領が『外交はもう機能しない』と伝えてきたときにすぐ提示できるよう、さまざまな選択肢を準備している」と強調し、「秘密工作にせよ、国防総省を支援するにせよ、検討を進めている」と明らかにした。

安倍晋三首相は8月6日朝、トランプ米大統領と電話で約35分間協議した。両首脳は北朝鮮の5日の弾道ミサイル発射について、「日本の安全保障上、重大な脅威」との認識で一致。トランプ氏は「すべての選択肢がテーブルにある」と表明した。当然、軍事攻撃もそのなかに含まれる。また、国連安全保障理事会は8月5日に会合を開き、北朝鮮への制裁強化の決議を全会一致で採択した。

こうして、米国による対北朝鮮への軍事攻撃がまったくの空念仏でない状況が出てきているなか、米国国内では、(1)今の内に北朝鮮に対する軍事攻撃を行うべしという論と、(2)北朝鮮との話し合いで管理をしていくべきだという論が盛んに展開されている。

この議論は、民主党は別としても、共和党関係者のなかで行われている。「軍事行動を行うべし」という論の代表的人物にボルトンがいる。ボルトンは積極的な対外軍事行動を唱える「ネオコン」の代表的論客である。ブッシュ政権時代の2001年、国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)に任命され、北朝鮮との六者会合やイランの核開発問題などを担当し、強硬政策を主張した。この彼が、北朝鮮に対する軍事行動を行うべしとする論評を8月2日付米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに発表した。

他方、北朝鮮と話し合い、北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)、核兵器を管理する時代に入ったとする論がある。その代表的人物がリチャード・ハースである。国際問題について世界でもっとも権威のある研究所は外交問題評議会だが、ハースはその現会長である。元国務省政策企画局長も歴任しているが、このポストはそれぞれの時代で米国内で最も外交問題について識見のあるとみられる人物が就いている。

米国の場合、憲法上、戦争を行う権利は大統領ではなく議会にある。従って、米国においては公式、非公式のいずれの形式をとるにせよ、議会の合意を取らないで軍事行動が行われることはない。そして議会は基本的に民意に基づく。

●米国の世論

トランプが北朝鮮に軍事行動する場合には、世論づくりを行っていく。本件に関する世論調査はあまり行われていないが、4月21日に発表された「CBS News Polls」の世論調査は次の通りである。以下、長くなるが英訳・引用する。

<問>
北朝鮮の兵器開発は米国に脅威を与え、米国は軍事行動を必要とする。あるいは脅威ではあるが、コントロールされている(North Korea's development of weapons is a threat to the U.S. that requires military action now. North Korea's development of weapons is a threat that can be contained right now)。

<世論調査結果>
・軍事行動を必要とする:27%
・コントロールすることができる:61%

<参考1>
ボルトン「北朝鮮への軍事攻撃選択(The Military Options for North Korea )」(8月2日付ウォール・ストリート・ジャーナル)

・北朝鮮は米国東海岸を攻撃できる最初の大陸間弾道弾を発射した。そのことは25年間にわたる米国の核不拡散政策の失敗を意味する。ひとつの考えにこり固まったならず者国家は外交的譲歩をポケットに入れて、核兵器建設に対する経済制裁には耐えることができた。だから、もうワシントンは「アメとムチ」の政策を止める時が来た。

・イランは核兵器部品を北朝鮮から買うことできる。

・イラン、北朝鮮は米国の外交的弱さを利用してきた。

・北朝鮮は核兵器、大陸間弾道弾を持ち、米国にはわずかの選択肢しかない。さらなる対話と制裁は過去の25年が示すように失敗する。私は、唯一の永続性のある外交的解決は2つの朝鮮を統一し、北朝鮮政権を終わらせることが中国、及びアメリカの国益に適うことを、中国に説得することだと主張してきた。

・成功する外交行動がない以上、残された道は軍事的選択(複数)だ。しかし、多くの者は、北朝鮮のミサイルに対する米国の脆弱性を認めつつも、この脅威を無力化するのに戦力を使うのはあまりにも危険であるという。この論は、唯一の選択は核兵器保有の北朝鮮を受け入れ、抑止しようとするものである。

・では軍事的選択には何があるか。

第一にワシントンは北朝鮮の核施設、弾道弾施設、発射場、潜水艦施設への先制攻撃ができる。サイバー攻撃等さまざまな段階がある。最終段階には全プログラムを排除するため、空海基地に拠点を置く武力の行使である。

第二に、米国はミサイルが米国向けに発射されるまで待ち、破壊することができる。これは時間的余裕があるが、危険性を増す。

第三に指揮系統の攻撃がある。これらすべては韓国、特にソウルの市民への危険を有する。ここでは非武装地域周辺の大砲の射程距離内にある。したがっていかなる軍事行動も、これらの攻撃は、北朝鮮の攻撃力を機能不全にしなければならない。米国は攻撃前に同盟国の合意を求めなければならないが、いかなる政府も米国民を金正恩の核兵器からアメリカ国民を守る行動に拒否権は発動できない。米国と韓国は17年7月29日、北朝鮮のICBMに対抗するため、東シナ海にミサイルを発射した。中国は多大の利害関係を持ち、大量の難民が北朝鮮から中国に流入する。米中とも両国軍の紛争を望まず、攻撃前には中国との協議は必至である。

・北朝鮮、イランの核を止めることが、核兵器が世界に拡散するのを止める最後のチャンスである。

<参考2>
リチャード・ハース著「北朝鮮の核開発プログラムからの10の教訓(Ten Lessons from North Korea’s Nuclear Program)、「Project Syndicate 掲載論評」

・北朝鮮は核弾道弾を製造し、ミサイル開発を行ってきている。多くの政府は北朝鮮の開発をどう防止するか、開発速度を弱めさせるか、これらの努力が失敗したときにどうすべきか検討してきている。国際社会の努力にもかかわらず、北朝鮮がなぜ核兵器、ミサイル開発を進めてきたかを理解することが重要だ。

・第一に、基本的な科学的ノウハウと近代的工業能力を持つ政府は、遅かれ早かれ開発に成功する可能性が高い。該当する技術は広く利用が可能である。

・第二に外部からの支援は抑制することはできるが、閉ざすことはできない。利益が生み出せる時にブラック・マーケットはいつでも存在する。特定の国はこうした市場を手助けする。

・第三に経済制裁が達成できることには制約がある。制裁は核兵器開発費用を増加させるが、歴史を見れば特定国がその獲得が十分価値あると判断すれば、その国家は相当額を払う用意がある。インドの核開発の例を見れば、特定国の開発の現実を受け入れたり、他の目的を追求する際には、この制裁は消滅する。

・第四に諸政府は常に国際的視点を最重視するわけではない。中国は核拡散を望まない。だが中国は分断されている朝鮮半島を望み、北朝鮮がバッファーとして機能することを望んでいる。米国はパキスタンの核兵器開発に反対であったが、アフガニスタンでのパキスタンの協力を望んだので、行動は緩やかだった。

・第五に核兵器が使用されて約75年、依然核兵器は価値あるものとみなされ、それは威信のためではなくて安全保障の観点に基づくものである。そのような判断をイスラエルが行った。ウクライナ、リビア、イラクは米国の圧力などで核兵器をあきらめたが、結果、攻撃された。北朝鮮はこうした運命を避けてきた。

・第六にNPT(核拡散防止条約)は不十分である。NPTは自発的協定である。

・第七に最近の国連総会での核兵器禁止などの新たな外交努力は目立った効果を持っていない。

・第八に核兵器拡散に反対するという明確な基準はあるが、特定国が核兵器を開発しようとした場合どうするかについての明確な基準はない。

・第九に核拡散に対応するほかの手段は、時の経過と共に悪化している。1990年代初め、米国は軍事使用を考えたが、朝鮮戦争を引き起こす可能性からやめとなった。状況は改善されず、使用すべき軍事力はより大きく、成功の見通しはより不透明となった。

・最後に、すべての問題が解決されるというものではない。いくつかの問題は管理できるだけである。イランが核兵器をいつの日か開発するのではないかという問題に結論を出すのは早すぎる。15年合意はこの危険を遅らせはしたが、排除はしていない。北朝鮮に対しても同様である。こうした危機を管理することは満足できるものではないが、多くの場合それが望みうる最大のものである。
(文=孫崎享/評論家、元外務省国際情報局長)

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