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イスラム国指導者・バグダディ容疑者に殺害報道 ロシアが〝生死確認中〟でも報道した狙いとは?

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 ロシア国防省によると、シリア北部のラッカ近郊で5月28日、会議のために集まっていた過激派組織「イスラム国(IS)」幹部らをロシア軍が爆撃。イスラム国の司令官ら約30人と戦闘員約300人を殺害した。この会議には、最高指導者のバグダディ容疑者も参加していたとみられ、死亡した可能性があるという。現在、ロシア側は確認を進めている。

ロシア軍は今回の攻撃や時間について、事前にアメリカ側に通告していたという情報もある。イスラム国は、もともと国際テロ組織「アルカイダ」から派生した組織だが、アルカイダの指示を無視して残虐な行為を続けたため、2014年2月にアルカイダから絶縁宣言されていた。

バグダディ容疑者をめぐっては、過去に空爆などにより「死亡した」「負傷した」という情報がたびたび伝えられていた。ロシア軍が爆撃した5月28日以降も、イスラム国は犯行声明の発表やテロなどを起こし続けている。果たして今回の情報は本当なのか。また、報復などの可能性はあるのだろうか。

■殺害報道はロシアの“自信”か
 中東情勢に明るい放送大学教授の高橋和夫氏は、AbemaTV出演の直前まで、日本イスラム協会の食事会に参加していたという。「まだ日本ムスリム協会には確認情報が入っていなくて、僕が話したら『え、そうなの?』という雰囲気で、半信半疑。話題になるところまではいかなかった。というのは、これまで何度もバグダディには死亡説が出ているので、『またか』という感じがある。ただ、今回はロシア筋。これまでは、アメリカ筋かイラク筋が『バグダディ死亡』と何回もうってきた。ところが、今回は情報源が違う」と述べ、これまでの「バグダディ死亡説」との違いを述べた。

 情報の確度については、「判断はできないが、ロシアがこんなことを発表するのは今まではなかった。だから、よっぽど自信があるのかな?という感じ」と、高橋氏は見解を示す。

ロシア国防省の発表を整理すると、ロシアは5月末にラッカ周辺でイスラム国の幹部が会合を開くとの情報を入手した。会議の目的は、ラッカからのイスラム国戦闘員撤退に関する協議で、ロシア側は無人偵察機で会議の時間と場所を確認したという。ロシアメディアのインタファクス通信は「イスラム国の最高指導者死亡について、ラブロフ外相は『100%の確証なし』」と発言し、ノーボスチ通信は「空爆によるイスラム国最高指導者の殺害情報を国防省が確認中」と伝えている。

ロシアの中東政策に精通する未来工学研究所研究員の小泉悠氏は、「イスラム国は携帯のアプリで連絡をしていて、それをロシア軍が傍受した。国防省の正式発表なので、情報には自信がある。大統領府はこの情報について、『国防省しか判断できない』と発表している。ロシアは恥をかきたくないだろう」と分析する。

高橋氏は、「イスラム国の幹部たちは最初、モスルにいた。そこを包囲されたから、ラッカに逃げたという話は、おそらく正解だろう。ラッカも危ないから、もっと南の方に下りてくることが予想されていたので、状況証拠はピッタリ合う。ただ、アメリカの諜報機関に追われているのはみんな知っているので、携帯は使わずに、紙に書いてそれをメッセンジャーが持っていく。ビン・ラディンがそうだった。だから、ロシアがこれだけ確実な情報を取っていたということは、エージェントがIS内部に混ざっているということ」と、ロシア側の諜報部員がIS勢力圏内で活動している可能性があることを指摘する。

 さらに高橋氏は、「ISの主力部隊、1番強い部隊はロシア出身のチェチェン人といわれているので、そこ経由で情報が入った可能性はある。もちろん、ロシアはどうやって情報が入ったのかは言いたくない。人が入っていることがバレるのが、嫌だから、携帯を傍受したと嘘のアリバイを作る。本当の情報源を隠すために。よくできたアリバイなので、ロシアは相当自信があるのかなという気がする。爆撃すると遺体が確認できないので、ロシア側の慎重さというのも説得力を持つ」と述べた。

バグダディ氏の生死については、「アメリカの場合は、通信をずっと傍受して、お葬式で人が集まったりだとか、急に通信料が増えたりしたら『重要な人物が殺されたんだな』と憶測をする。ただ、今回のバグダディ容疑者の場合は、あまり携帯は使わないだろうし、確認はしばらく取れないだろう。ロシアも確認中としか言っていない」と述べ、断言は難しいとの見解を示した。

■イスラム国トップに重要なのは“見かけ”と“血筋”
 バグダディは“世界で最も危険な男”と呼ばれているが、どのような人物なのだろうか。

バグダディは1971年、イラク中部のサマラ生まれ。信仰の厚い家族の中で生まれ育ち、バグダッド大学では熱心にイスラム教を学ぶ、物静かで礼儀正しい学生だったという。暴力や残虐性とは無縁のバグダディの人生が一変したのが2004年、33歳のとき。学者だったバグダディは、過激派組織の知り合いと一緒にいたところを米軍に捕らえられ、収容所に拘束された。この収容所は、いわば野心に燃えるテロリストの巣窟だった。ここで影響を受け、テロ組織を作ることを決意したと言われている。釈放後、アルカイダ系の過激派組織に参加。2010年にイスラム国の前身、イラク・イスラム国の指導者が殺害されると、頭脳明晰なバグダディがトップになった。

 高橋氏は、バグダディがリーダーになったことについて、重要な点が2つあるという。「バグダディは、イスラム世界の女性からみると格好良い。イスラム圏では、指導者というのは男前でないといけないという発想がある。男前かどうかというのは、神様が決めること。美しいかどうかは神様が決めるので、見かけがいいというのは神様に選ばれたのだから、指導者にふさわしいという発想がある」と述べる。

2つ目として、「彼は黒いターバンを巻いている。ターバンの色に意味があって、預言者ムハンマドは黒いターバンを巻いていたという伝承がある。黒いターバンを巻くということは、預言者ムハンマドと血がつながっているということ。だから彼はそれだけで指導者になる条件を2つ満たしている」と、解説した。

次の指導者については、「普通は過激組織のリーダーがやられると、どんどん過激になる。しかし、次のリーダーは預言者ムハンマドの血を引いた人が欲しいし、それなりに女性に説得力を持つ顔が欲しい。となると、ちょっと難しいかもしれない」と推測する。

また、バグダディの思想が変化したことに触れ、「イラクにはもう十数年間も爆弾が落ちている。彼が過激になるのは、ある意味自然な気もする。アメリカを含む国際社会が作り出した状況が生み出した人物であって、彼の責任は問われるべきだが、こんな世界を作り出した我々にも責任があるという気もちょっとする」と話した。

■指揮官がいないと“降伏命令”が出ない
 バグダディがいなくなった後の勢力について高橋氏は、「ISは力が弱くなって、ビン・ラディンの息子が率いるアルカイダに吸収されるという流れは有り得る。しかし、どちらにしろ『テロをやれ』という思想。テロの脅威は依然として高いレベルだ。弔い合戦に関しては、このラマダンの時期が一番多い。懸念されるのは指揮官がいなくなることで、降伏命令を出す人がいなくなること。だから一般論として戦争のとき、最高指揮官は殺さない。今回、ロシアが言う通り、バグダディが死んだのであれば、戦いはしばらく続かざるを得ない。まだ指揮系統が残っていれば、大きな反撃に出てくると思う」と話す。

また、イスラム国側の声明がないことについて、「イラク戦争の時、『サダム・フセインを殺した』とアメリカが言っても、フセインはすぐテレビに出てくる。『俺は生きてるぞ』と。それがないというのは、ロシアの言う通りかもしれない」との見解を示した。

 上智大学教授の前嶋和弘氏は、アメリカ側の受け止めについて、「アメリカ側は歓迎しているだろう。トランプ氏は、2、3週間前にロシアとのさらなる協力を指示したとも言われている。しかし、ロシアゲート疑惑の対処に追われているため、表立った指示ができなかったのではないか。イスラム国への対応については協力している」と分析する。

最後に、高橋氏は「イスラエルの諜報機関がイスラム国のコンピューターに入り込んだという情報がある。イスラエルは、そのこと自体が機密情報だとアメリカにだけ教えていたのに、トランプ大統領がそれをロシアに喋ってしまったという話があった。もしかすると、今回のロシアの発表というのは、『イスラエルに教えてもらわなくても、ロシアはちゃんと諜報力を持っていますよ。バカにするんじゃないよ』というメッセージかもしれない」と付け加えた。

(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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