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東京女子ダイアリー

【下北沢・マキの場合 vol.04】やっぱり天狗はキューピット

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下北沢のついてを書いているマキ(29)です。下北沢のこと、ター君のこと…今回が最後です。天狗が現れて私の手を握って走りだしたところまで切れていました。その後のことです。
(監修:地主恵亮

駄菓子屋「悪童処」を出た私に向かって、天狗を先頭にして大勢の人達がまるで東京マラソンかと思う勢いで私の方に向かい走ってきました。

天狗まつりで一番の盛り上がりを見せる「天狗狩り」が始まっていたので、みな天狗にタッチしようと、天狗を追いかけているのです。

先頭が見えないくらいの人混みです


私は驚いてその場で立ち尽くしていたら、天狗が私の手を取って走り出しました。天狗狩りで初めて天狗にタッチできた瞬間でした。タッチどころか、天狗が手を取って走っているのです。

なぜ天狗がいきなり私の手を取ったのかはわかりません。顔を見ても、真っ赤で立派な鼻の天狗のお面ですがあるだけで何を考えているのかさっぱりです。

地響きが聞こえてくるようで怖かった


後ろを振り向くと、渋谷のスクランブル交差点に負けないくらい大勢の人が、私たちを追いかけてきます。

歴史あるお祭りだからか、子供から年配の方までいます。みな必死の形相をしていてお祭り気分でゆっくりと、なんて感じではありません。

下北沢一番街を走り抜け、下北沢駅西口の方へ走っていきます。西口の踏切を越えるといつもは人が少なくなるのですが、今日は違います。

私たちを追いかける人たちでいっぱいです。息が上がってきているのですが、不思議と走ることができます。天狗の力かもしれません。



ところどころ細い道や急カーブを抜け、人々を撒きながら走ります。角を曲がるたびに人が少なくなってきました。天狗も疲れているようで、曲がり角のたびに、何か私に言っているようにも聞こえるのですが、よく聞こえません。

私は逸れないように、力いっぱい天狗の手を握りました。だんだんと中心街を離れたので、夜空を彩っていた提灯が少なくなり日常の下北沢の風景になってきました。



天狗と私たちは追っ手を振り切り、「北澤八幡神社」まで来ました。神社に人気はなく、隣接する公園の街灯と拝殿の灯りだけが、あたりを照らし出しています。ここにいるのは天狗と私だけです。少し不安になってきました。

お互い肩を揺らしながら息をしています。天狗がおもむろにお面をはずました。驚くことに赤いお面を外しても、その下は赤い顔の人でした。正体は天狗ではなく、ター君でした。



「疲れたね」と私に優しく笑いかけます。なぜ、ター君が天狗狩りの天狗をやっているのでしょうか。本来なら古くからある天狗祭り保存会の方がしているはずです。

二人でブランコに座り、ター君の息が整うのを待って話を始めました。話は今日のター君たちの劇団「パンコーヒー」の舞台「天狗ドライバー」開演の10分前にまで遡ります。私がテピートで食事をしていたころです。



ター君は朝私が出て行ったことも気付かず眠り、劇の開演10分前に他の劇団員の電話で起きたそうです。

焦ったター君は台所のテーブルにある天狗のお面を持って、「大下北沢少々劇場」に走りました。

運よくター君はお面をつけるのでお化粧もなく、天狗の衣装に着替えるだけ、出番も後半の方だったので舞台には問題なかったと言っていました。

ただ舞台が終わり、控え室でお面を取ろうとしたら、髪と顔中が真っ赤に染まっていたそうです。私が意地悪で中にもポスターカラーをベトベト塗ったからです。

話のお供は先程買ってきた駄菓子です。


ター君は私を驚かせようとお面をそのまま付けて帰ろうとしたそうです。さらに周りの劇団員が「明日も遅れるから衣装も着て帰れば!」と言ったのをター君は真に受けてそのまま街中に出てきてしまいました。

ター君、こんなお茶目なところが可愛いんです。

天狗祭りの日に天狗の格好で街を歩けば大勢の人に追いかけられるにきまっています。途中で私を見かけ手をつないで、ここまで逃げてきたというのが真相でした。



ター君は下北沢に来てまだ1年も経っていないので、天狗狩りの存在を知らず、すごい形相で大勢の人たちが追いかけてきたので、恐怖を感じ逃げていたそうです。私を見つけた時はホッとしたと言っていました。

私はホッとした以上の気分でした。天狗祭りの日に、今まで叶わなかった幸せを運ぶ天狗にタッチすることが出来ましたし、手をつないで走ったのです。

さらにその天狗が大好きな人でした。これはもう幸せとしか言えません。



下北沢では天狗はいつも奇跡を起こし、幸せを運ぶ存在なのです。私たちはそんな話を笑いながらしていました。

その時、まるで天狗が団扇で仰いだような強い風が吹きました。私は風の力でター君にもたれかかり、キスをしました。

ター君の顔がもっと赤くなっていたような気がしますが、まあこれも天狗のせいでしょう。

以上が、下北沢で私の身に起きた事件の全貌です。最近ター君は次の舞台に向けて新しい役の練習をしています。

今度、客演で違う劇団にも出る事になったと話をしてくれました。ター君はやっぱり認められつつあるのかもしれません。そんなター君の夢を支えていってあげようと思います。

天狗が棲む街、下北沢で。

次回、代々木上原のスミレが【不倫は25歳で卒業】
を語ります… (監修:地主恵亮

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