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「風俗は男性にとっての避難所」鳥飼茜が考える男女間のギャップとは

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『おんなのいえ』『先生の白い嘘』『地獄のガールフレンド』など、女性が直面する問題を描いて高い評価と支持を集める話題の漫画家・鳥飼茜が、昨年10月から『週刊SPA!』で「ロマンス暴風域」を好評連載中だ。

物語は、仕事も恋愛もうまくいかず疎外感を味わう主人公・サトミンが、店で出会った風俗嬢に運命を感じて恋に落ちるストーリー。しかし、そこは一筋縄ではいかない鳥飼作品。男性読者に都合のいい展開にはならず、2月21日発売号に掲載の第11話では、男女の風俗に対する認識の違いを巡るやりとりから、いよいよ物語は急加速しはじめる。

これまで女性視点の作品が多かった鳥飼氏が、なぜ男性を主人公にして、それも男性向け週刊誌で連載をはじめたのか。前回「男はかわいい女の子ならばなんでもOK?」では、作中でも生かされている男性の「楽観性」を指摘。ここからはさらに踏み込んで、男性が風俗で「女性に求めているもの」とは何か、そしてそこに潜む鳥飼氏が感じているギャップをあぶりだしていく。

◆男性にとっての避難所? 風俗に対する煮え切らない思い

鳥飼氏が楽観的で大ざっぱなところに男性特有の魅力を感じているように、逆に男性から見た女性特有のよさもある。鳥飼氏は「ロマンス暴風域」で、まさにそんな“男性が女性に求めているもの”も描こうとしている。

「私はこれまで、風俗店というのはただただ女の“性”が売り物にされている場所だと思っていたんです。でも、男友達や知り合いに聞き込みをしたら思っていた以上に、男の人は母親のような安心感を女の人に求めているし、女の人に嫌われるのを怖がっているし、女の人に傷つけられない保証が欲しいんだってことがわかってきて。風俗はそういう男の人にとっての避難所でもあるんだろうなと思ったんですよね」

⇒【画像】はコチラ(ロマンス暴風域より)https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1291491

「ロマンス暴風域」では、風俗をめぐる男女間の考え方の違いも描かれる。『週刊SPA!』2月14日発売号に掲載の#11では、「風俗ってべつにその女のコ自体を売り買いしてるワケじゃない」と言うサトミンに、女友だちの芝内が「手をつなぐだけで何万円とかもらえるわけ無い」「その何万円はなにかと引き換えなんだよ」と語る場面が印象的だ。芝内の言葉は女性が一般に持っている感覚なのだろうか。それとも鳥飼氏が持つ感覚なのか。

「少なくとも、私は自分の“性”をお金で売るということが怖い。昔からよく見る夢が、風俗で働くことになって控室で男性を待つ夢。怖くて怖くて、とうとう客がついた瞬間に逃げ出すんです。自分の欲求や好意とはまるで無関係の見ず知らずの男性の性欲を、自分の体で受け止めるというのは、私にとっては強烈に怖いことなんですよ。それが、お金や生活のために他に選べない手段なのだとしたら、もっとつらい」

その恐怖はどこにいきつくのか。

「怖がっていたら続かないし、そのうち自己防衛が働いて『こんなことはなんでもない』って、私なら思うようになる。そうやって“なんでもない”ことにした苦しさは消えはせずに、形を変えて別の場所に吐き出されたり、本人の中に溜まっていく気がします。だから、どのくらい自分の自由な意志でやりたいと決められることなのか、どうしても疑問があるんですよね。そうやって成り立っている以上、風俗という職業を全肯定はできないなというのが、私のいまの考えです」

芝内は男性読者に向けて、女性が風俗に感じるそうした拒否感や嫌悪感を代弁するキャラということなのだろうか。

「女だから感じる拒否感や嫌悪感はもちろん女にしかわからん。でもそれってつきつめて考えたら、『女だからとか男だからって関係なくないか?』と思った。そうしてる人を好きか嫌いかなんて考えない。自分だったらつらい。自分の体だったら楽しいか苦しいかで考えれば、明らかじゃないですかね」

◆作品の中では何を描いてもいいと思う

鳥飼氏は昨年、『週刊SPA!』の「エッジな人々」でロングインタビューを受けている。その際、女性が本音を口にしただけで男性から「怖い」と言われてしまう風潮の裏には、男性もまた「男の役割」を求められることを恐れている状況があるのではないか、と指摘。「女って怖いな」「女って面倒だな」と感じたら、女性全般がさらされている社会や状況のせいかも、と考えてみることで、お互い想像力を働かせたり、教えあったりできたらいいのではないか、と提言した。

そんな経緯もあって決まった今回の連載だが、周囲の人からは「なぜ男性向けの雑誌である『週刊SPA!』で連載を始めたの?」と聞かれることもあるんだとか。

「『先生の白い嘘』のように男女の性差を描いている漫画家が、グラビアとか風俗情報とかてんこもりの男性視点で作られているSPA!みたいな雑誌で描くのは『相容れないのでは?』と思っている人もいるのかな。でも、自分の意にそぐわないことが書かれている媒体だから描きたくない……とかは、私はあまり思わないんです」

それは同じ職場内であっても同様だという。

「以前、仕事場にアシスタントで来てくれていた男の子に、『自分はエロを題材にした漫画や女の人をおとしめるような漫画を描いているので、鳥飼さんが気に入らなくて怒るんじゃないかと怖かった』と言われたことがあって。でも、自分の興味・関心をストレートにさらけ出せることが表現の醍醐味だから、私の主義・主張はさておき、作品の中では何を描いてもいいと思うんですよ。雑誌についても、おおよそは同じ。自分たちの決めたモラルやルールに抵触しなければ存分にやること自体に文句はないし、誌面を見て嫌だったら嫌だと言えばいいだけなので。同時に、嫌だという意見を常に受けて立つ仕事でもあると思っています」

【鳥飼茜】

’81年、大阪府生まれ。’04年デビュー。主な作品に『おんなのいえ』、『先生の白い嘘』(ともに講談社)、『地獄のガールフレンド』(祥伝社)ほか。’16年10月より『週刊SPA!』で「ロマンス暴風域」を連載中

<取材・文/福田フクスケ 撮影/スギゾー。>


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