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映画『猿の惑星:聖戦記』最先端のVFXはいかにして作られたのか? VFXスーパーバイザー ダン・レモン氏にインタビュー

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Image: (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

人類と猿が共生する世界を描く、リブート版『猿の惑星』シリーズが遂に完結!

10月13日公開の『猿の惑星:聖戦記』。私は一足早く鑑賞したのですが、見終わった後は、主人公の猿・シーザーの激動の人生を思い涙したり、人間の愚かさと必死さに哀れんだり、神をも恐れぬ医学研究の数々を思い出して、この物語が決してでたらめなSFではないことに身震いしたり、シーザーの生き様と自分の人生を照らし合わせて、自分がいかにちっぽけな人間であるかを思い知らされて落ち込んだり、猿達の次章に思いを馳せたりと、感情的にとても忙しい日々を過ごすことになりました。いやー、すごかった。

『猿の惑星:聖戦記』をここまで素晴らしいものにしたのは、キャラクターアークを丁寧に書いた脚本と、俳優陣の類まれなる演技。そしてなんといっても、リアリティを追求した最先端のVFXです。

VFXを担当したのは、シリーズ3作すべてを手がけてきたニュージーランドのVFXスタジオ、WETAデジタル。本シリーズには、従来のモーション・キャプチャーよりも俳優の動きを精細にデータ化する「パフォーマンス・キャプチャー」が使われていますが、本来ならば室内で使うはずの技術を、前作『新世紀』では屋外で、そして今作では屋外の、しかも雪の中という過酷な環境で使っています。それだけでなく、これまでにも増して真実味のある猿の表情表現にも成功しています。
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Image: (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
モーション・キャプチャー撮影から、完成映像まで

今回、『創世記(ジェネシス)』『新世紀(ライジング)』に続き、『聖戦記(グレート・ウォー)』でVFXスーパーバイザーを務めた、WETAデジタルのダン・レモン氏が来日。ジョン・ファヴロー監督の『ジャングル・ブック』でアカデミー賞視覚効果賞を受賞した、業界のトップランナーにインタビューする機会に恵まれました。
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Photo: ギズモード・ジャパン
リブート版『猿の惑星』シリーズでVFXスーパーバイザーをつとめた、ダン・レモン氏

──ついにシーザーのトリロジーが完結しました。『創世記』『新世紀』はどちらも単体で素晴らしい作品でしたが、『聖戦記』は全体のレベルをワンランク押し上げたと思います。

私は見終わった後、こんな大作に関わった人たちがどんな気持ちで働いていたのか興味を抱きましたが、レモンさんは脚本に初めて目を通したとき、どう感じましたか?

ダン・レモン(以下、レモン):脚本にはとても興奮しましたね。 と同時に技術的に解決しないといけない部分のことも考えました。たとえば雪ですね。今回、猿に降る雪と雪崩の表現があってこれは難しいと感じました。でも、脚本はシーザーの物語を終わらせるに相応しい素晴らしい内容だと思いましたね。

前作『新世紀』からのマット・リーブス監督をはじめ、アンディ・サーキスやチームのみんなとは素晴らしい仕事をさせてもらいました。いい作品に関わったと嬉しく思っています。

──脚本を読んで苦労しそうだと思ったシーンはどこでしょうか?

レモン:雪崩と滝のシーンですね。雪崩も滝も過去にやったけれど、それよりいいものを作りたかったんです。特に雪崩はストーリーの重要なシーンだし、見ている人に嘘っぽいと思われないものを作ろうと意識しました。
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Image: (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
主人公のシーザー
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Image: (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
パフォーマンスキャプチャーでシーザーを演じる、アンディ・サーキス

──『新世紀』では、コバがタンクを奪い取るシーンを1,030バージョンも試行錯誤して、完成には1年以上かかったそうですね。監督のオーケーが出たときにはWETAでシャンパンを開けて祝ったと聞きました。そのような苦労シーンは『聖戦記』でもありましたか?

レモン:今回は2つのセクションでありました。アンディ・サーキスの感情表現の演技が非常に複雑で、それをシーザーで忠実に再現するのにとても苦労したんです。そのようなシーンが2箇所あって、何バージョンも作らないといけませんでした。

──『創世記』では目で感情を語らせるために、白目を通常よりも白くして際立たせたり、眼科の協力を得て眼球や周辺の動きを学んだとありました。前2作でも目の表現には驚かされましたが、今回はより一層進化していたと感じました。目の技術についてはいかがでしょうか?

レモン:実は目のテクノロジーを大きく進化させたのは『創世記』から『新世紀』にかけてなんです。目の生態構造のVFXツールを全部作り直してもっとリアルにしました。

でも、今回もいくつか変化させましたよ。たとえば、猿が驚いたときにもう少し表現幅を上げる必要があると考えたので、光彩をこれまでより縮まるようにしました。スティーブ・ザーンのバッドエイプ(今作で登場するキャラクター)は頻繁に驚く表情を見せるので、キュッとなるようにしたんです。

──プロダクションの都合によって撮影はストーリーの順番通りに撮影されるわけではないと聞きます。本作のラストはシリーズを完結させる意味深いシーンでしたが、どのタイミングで撮影されたのでしょうか?

レモン:シーザーのラストシーンは最後のほうに撮影しました。

マット・リーブスはできる限りストーリーの順番通りに撮影することを好む監督なんです。俳優にとっても感情的についていきやすいし、監督自身ストーリーの流れ通りに撮っていく中で新たな発見があって、新たにシーンを加えるなんてこともありましたね。

──『新世紀』では猿の村のセットに実際に火をつけて焼いたと聞きました。一般的に、安全面や予算を考えればVFXを使いそうなのに、意外でした。『聖戦記』では、このような「あえてプラクティカル・エフェクト」にしたシーンはあったのでしょうか。

レモン:今回の映画でもなるべくプラクティカル・エフェクトを使おうとしました。たとえば、爆発や地雷が当たるシーンです。ただバランスも必要で、爆発がおこっている間に猿が走ったりするのは技術的にもとても難しいので、リファレンスを使って組み合わせるといったこともしています。

ほかには、爆発のシーンを3Dでシミュレーションしたこともあります。 プラクティカル・エフェクトのスーパーバイザーとたくさん話し合って、彼らが実際にやっていることを3Dで再現したんです。たとえば、(プラクティカル・エフェクトでは)デッドコードと呼ばれる巻いたコイルの上に泥炭のようなコケやコルクを使って爆発させますが、それをそのままデジタルで再現しました。
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Image: (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

──アンディ・サーキスは名俳優ですが、今回の演技はかつてないほど際立っていました。サーキスとレモンさんは『ロード・オブ・ザ・リング』『キング・コング』『猿の惑星』シリーズで共に仕事をしていますが、サーキス氏についてお聞かせください。

レモン:アンディ・サーキスは本当に素晴らしい俳優です。

彼は映画『キングコング』(2005年)でキングコングの役をしているんですね。『創世記』のとき、アンディ・サーキスはコングのような演技をしてくるのだろうと思っていましたが、彼の演技は全く違っていたんです。キングコングとシーザーではビジュアル的に違うというのもありますが、演じ方も変えてきました。

シーザーは3作の間に色々と変化しているけど、同様にサーキスの演技も変化しています。『聖戦記』では今までにない表情を出してきたから、顔のマペットを完全に作り替えなければなからなかったほどだったんですよ。


意外だったのはマット・リーブス監督が順番通りに撮影する中で何かを追加したりしたということ。本作はプリビズ映像(本番の画を事前にCGで再現した映像)が多く公開されている作品のひとつですし、俳優の撮影とVFXとで複雑な工程を踏んでいます。そのため、プリプロダクション段階でガッチガチに固めて変更なしで撮影されたのではと考えていましたが、必ずしもそうではなかったようですね。どこに変更があったのか突っ込んで聞けなかったのが心残りです。

『創世記』はVisual Effects Societyによる「VFXの歴史においてもっとも重要な作品」のひとつに選ばれていますが、VFXのハードルを押し上げた今作も後々加えられるのではないでしょうか。

歴史の終わりを見届ける『猿の惑星:聖戦記(グレード・ウォー)』は明日、10月13日(金)公開です。

関連記事:限られた予算で魅せるCGを作り込む! VFX満載の映画に必要不可欠な製作フロー「プレビズ」と「ポストビズ」

Image: (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
Photo: ギズモード・ジャパン
Source: 映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』オフィシャルサイト, Visual Effects Society

中川真知子

外部リンク(ギズモード・ジャパン)

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