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幻の短編収録!『新装版 ルナティック雑技団』マダムゆり子のグッとくるセリフベスト5

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 30代の女性の中でも、青春時代にサブカルロードを歩んできたという自覚のある方々には、共通するバイブル的ギャグマンガがあるとわたしは考えている。それが、『お父さんは心配症』、『こいつら100%伝説』、そして『ルナティック雑技団』という岡田あーみん先生の一連の作品だ。これらは今年創刊60周年を迎えた少女マンガ雑誌『りぼん』に連載されていたのだが、およそ『りぼん』らしからぬ――いや、『りぼん』どころか少女マンガ誌に掲載されていたことが不思議なくらいにエッジの効いたギャグで、後にも先にも類を見ないオンリーワンの輝きをいまだに放っている。

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岡田あーみん先生の作品は、すでに刊行されているもののほかに、単行本未収録の短編作品がいくつかあり、絶版本を復刊させるサイト「復刊ドットコム」では、長期にわたり復刊リクエストの首位をマークしていた。しかしながら、先生ご本人がすでにマンガ界を去って久しく、さらに連絡が取れない状態であることなどから、単行本化の実現はほぼ不可能とされていた。

しかしこの夏、『りぼん』創刊60周年記念コミックスとして、幻の短編の数々を収録した待望の『新装版 ルナティック雑技団』が発売される運びとなったのだ。このビッグニュースに、思わず壁にスプレーで「Eじゃん Gジャン 最高じゃん」と書いてしまいたい気持ちになったあーみんファンは多かったのではないだろうか。「へー イカしたフレーズだな」!

ここで少し筆者の自己紹介をさせてもらうと、わたしは昨年、娘を出産したばかりの36歳の新米母である。もちろん上記の岡田あーみん3作品の単行本はバイブルとして今も本棚の一番目立つところに鎮座している。このたび新装版を入手し、産後ひさびさに『ルナティック雑技団』を読み返すことになったのだが、そこである異変があった。

『ルナティック雑技団』は、わらび野中学校に通う主人公の星野夢実が、学校一の有名人で孤高の貴公子・天湖森夜の家に居候することになり、学園のアイドル愛咲ルイと三角関係(?)になったり、タコ部屋に送り込まれそうになったり、世界を股にかけたスパイに発砲されたりする物語だ(詳しくは実際に読むべし)。強烈な個性を持つさまざまなキャラクターが登場するのだが、その中でも筆頭といえるのが、天湖森夜の母・ゆり子だ。

夫には「妻は神経が少し個性的なんです」と評され、息子には「ボクは…お母さんのこと興味……好きだよ」と気を使われるマダムゆり子。以前は、ただただエキセントリックで自分の息子と夫を偏愛するキャラという認識だったマダムゆり子だが、母となった今、彼女の言動に「あ、なんとなくわかるわ…」という共感が生まれ始めたのである。そこで、今回は“あー民”ママとして、マダムゆり子のグッとくるセリフ、ベスト5を選んでみた。

【第5位】
森夜恋しや ほ~やれほ 鳥も獣も みな逃げろ
(第13回 純愛青春劇場・涙の完結編「愛の放浪記」)

タコ部屋に売り払われそうになった夢実を連れて逃亡した森夜が、川に流され行方不明になったときに捜索ボートに乗ったゆり子が上の空で歌った歌詞。ちなみにこの歌詞は、森鴎外『山椒大夫』のラスト、厨子王と母親が再会するシーンで、盲目となっていた母親が歌っていたものをアレンジしたようだ。

【第4位】
ちょっとお これがないと森夜は眠れないのよぉ
(第15回 そんなゆり子の日曜日)

マダムゆり子がメインの回。森夜に普通の男子中学生の感覚を身につけさせようと森夜の部屋にあったベッドメリーを片付ける夢実に、ゆり子が放った一言。息子が中学生になってもメリーを捨てられないゆり子の姿と、娘がなんとなく飽きがきているおもちゃをなかなか捨てられない自分が重なる。

【第3位】
あんたはかわっちまったよぉ 昔のあんたは どこに行っちまったんだよおお
(最終回 さよなら天湖家)

天湖家を出て行くはずの夢実が森夜の説得で再び戻ることになったと知ったゆり子が「その娘とお母さんとどっちを愛してるの」と森夜に詰め寄る場面。森夜の赤ちゃん時代のエピソードとともにゆり子の女優ぶりが光る名シーンだ。うちではつい最近、娘に歯が生えたのだが、「もう歯のないころには戻れないんだ…」と寂しくなったことを思い出し、きっと子育てをしていると、これからどんどん「あんたはかわっちまったよぉ」と感じることが多くなるのだろうなと思った。

【第2位】
ほんと~はおそうじ~~スキじゃあないけどぉぉ
あなたぁのためな~~らあ とっとと とやるわああ
スプァクゥゥ スプァクゥゥ
(第17回 コードネーム・ミスターX ―過去をもたない男―)

森夜たちが学校へ行っている時間に歌いながら家事をこなしているゆり子。子供を産んでみて自分が一番変わったのが、これまで自分ひとりではなかなかやらなかったことでも、子供のためだと思うと“とっとと”そして喜びをスパークさせながらできるということだ。赤子である娘がどこへ這ってもいいように、母は今日も掃除機を振り回す。

【第1位】
眠る間も与えてくれないほど しつように私の体を求めてきたくせにィィ
もてあそぶだけもてあそんだら用済みなのかいっ ちきしょー
(最終回 さよなら天湖家)

このセリフは母乳育児の経験のある母なら誰もが共感できるのではないだろうか。そう、ゆり子が言っているのは、夜間授乳のことなのである。うちの娘は現在、生後7カ月なのだが、6カ月時点で深夜の授乳はなくなった。哺乳瓶のミルクが大好きになったせいか、おっぱいをあげようとしても遊び飲みしたり、時には「これじゃねぇ!」とばかりに泣き出し真剣に飲んでくれなくなったのだ。新生児から低月齢のころは、2時間おきの頻回授乳でそれこそ本当に夜も寝かせてくれなかったのに…。森夜の胸をドンドンと叩き涙ながらに訴えるゆり子の肩を、「わかる、わかりますよ!」とそっと抱いてあげたくなる。

このほかにも「思春期から発情期へ通じるけもの道を なんとかなんとか寸前で禁猟区よ」、「調子にのるわ 救急車に乗るわ のりにのってるノリノリガールやなあ」、「ああータイトは走りにくい」、「あの女は魔性の女… 男を惑わす夢食い妖婦(バンプ) 少女の仮面のその下は 獣盛りの東洋毒婦」など、ゆり子だけをとってみても、印象的なセリフは枚挙にいとまがない。なんという言葉のセンス、そして着眼点。こうしたセリフたちだけでも、あーみん先生の非凡な才能を感じ取っていただけるのではないだろうか。ちなみに、これまで単行本未収録だった『番外編 届け! 愛のエアメール』では、海底ケーブルを断線するほどにパワーアップしたゆり子ママの姿を見ることができる。

岡田あーみん先生は、1983年に17歳でデビューし、14年間の活動の後、忽然とマンガ界から姿を消したまさにレジェンドである。今回、紹介したものは岡田あーみんの世界のほんのささいな一部分にすぎない。子育て世代であろうがなかろうが、これまで岡田あーみん作品を手にとったことがなかったという人は、興味を持ったらこの機会にぜひとも読んでみてほしい。

文=本宮丈子

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