最新ニュース、芸能、ネットの話題をまとめ読み

VR  米軍 

限られた予算で魅せるCGを作り込む! VFX満載の映画に必要不可欠な製作フロー「プレビズ」と「ポストビズ」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
170908_what_are_previs_and_postvis
Image: Chris Olsen/Vimeo4

映画といっても今日は製作側の話。

映画製作はビジネスです。そのためスケジュールと予算の管理は何より大事。でも、予算とスケジュールを守ったからといって、クオリティが低ければ観客は見に来てくれません。では、どうするか? その解決のヒントが「アイデアの可視化」です。

今日は長編映画、特にVFX満載のビッグバジェット映画で欠かすことのできない「プリビズ」と「ポストビズ」のお話です。ちょっと長いですがおつきあいください。

日本ではプレビズ、アニマティック、ビデオコンテなんて呼ばれ方もされますが、紛らわしいのでここでは「プリビズ」にしておきます。

映画のワークフローは大きく分けると3段階。プリプロダクション、プロダクション、ポストプロダクションです。

◾️プリプロダクションは企画。作品のアイデア出し、予算集め、脚本執筆、設定画描き、キャスティング、コンテ描き、ライカリール(動くコンテ)作り等。プリビズはこの段階で行なわれます。プリプロダクションでの決め事がしっかりしていると、のちのプロダクションで無駄なく作業が進められます。

◾️プロダクションは撮影と収録。ここではオンセットプリビズという撮影データとCGをリアルタイムで合成して素材の確認/評価が行なわれます。

◾️ポストプロダクションは主に仕上げ。編集、音響、VFXなど。ポストビズはこの段階で行なわれます。

じゃあプリビズって具体的に何?


超簡単にいうとイメージの設計図。もともとプリビズが生まれた理由が、不景気による映画製作のコスト削減とクオリティ向上だったので超合理的です。

そしてその設計図というのが、コンテやライカリールよりも更に具体的なイメージを低解像度の3Dモデルで再現したもの。カメラワークとおおまかな動きを可視化することで関係者全員が同じページを見れるようになり、行き違いや勘違いがなくなります。

カメラが決まっていれば作り込む必要の度合いがわかるし、全体の流れが明確であれば必要な技術やそれを賄う人足の計算もできるようになります。またリスク回避も可能です。

プリビズ専門の会社もあって、老舗と言われているのがジョージ・ルーカスのJak Film、そこのスタッフがスピンオフして作ったThe Third FloorHalonが有名です。日本だとアジア初のプリビズ専門会社ACW-DEEPが知られています。

いくつか参考に、プリビスの動画を貼っておきますね。

The Third Floorによる『アヴェンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』のプリビズ。



The Third Floorによる『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のプリビズ。



Halonによる『猿の惑星:聖戦記』プリビズ(余談ですがこの映画素晴らしかったです)。



Halonによる『ヴァレリアン』のプリビズ。



本編を見ればわかるんですが、カメラワークやオブジェクトの 動き・タイミングなど、プリビズと完成映像はほとんど変わりありません。つまり、プリプロ段階でアイデアがほぼ完成しているということになります。

じゃあポストビズって何するの?


プレビズと完成映像のカメラワークがほとんど変わらないなら、ポストビズでは何を可視化するの?と思いますよね。

ポストビズは撮影された素材に低解像度のCG素材を合成して、最終的にどんな絵になるのかを見たり、VFXを本製作するときのボリューム調整に使います。またテストスクリーニングで観客の反応を見たり、VFXベンダーに予算を正確に見積もらせるのにも活躍します。

ポストビズは、実写の撮影が終わるとすぐに作り始めます。ショット1を撮ったら、そのデータはすぐにプレビズで作ったリールに当て込む。そうしてどんどん組み立てていきます。

The CGBrosがポストビズについてわかりやすい説明をしていたので紹介しますね。



背景はすでに撮影された素材で、その中をローポリゴンのCGキャラクターが動いているムービーが、ポストビズの映像です。上で紹介したプレビズ映像はフルCGだったので違いは一目瞭然ですね。

この動画に登場した作品でいうと、アイアンマンはCGキャラクターなので、バトルシーンは必然的にほぼVFXです。このVFXをプリビズもポストビズもやっていない状態でベンダーに話を持っていくとしましょう。

もしプリビズもポストビズもなかったら


撮影し終わったグリーンスクリーン映像や背景映像をVFXベンダーに渡して「ここでアイアンマンが派手なバトルするから。過去作みて『アイアンマン』シリーズの特徴とか雰囲気掴んで。それで大体の見積もりとスケジュールだしてね。いい感じによろしく」なんて発注することになるわけです。

そうなった場合、VFXアーティストが手探り状態でアクションをつけて、後から監督に「ここはこうじゃないんだよなー」「もっといい感じに欲しかったのに」なんてリテイクをもらうことになるでしょう。それでは監督とアーティスト双方にとって時間と労力の無駄ですし、現場からは「だったら監督の『いい感じ』を絵で見せてくれ!」と不満が出るに決まっています。というかこんな監督は降板です。プロデューサーも合わせてクビでしょう。Oh no!

ではしっかりしたポストビズがある場合はどうでしょう。

ポストビズには監督が欲しいカメラ、レイアウト、アニメ、タイミングがすべて入っているので、VFXベンダーはそれを見ながら具体的なスケジュールと見積もりを計算することができます。

それだけでなく、VFXアーティストはポストビズのQTを参考にハイクオリティなものを作り上げていくだけ。監督の意志や求めているものすべてがそこにあるので、悩んだり迷ったりする必要も少ないはずです。リテイクの回数だって格段に減るでしょうし、監督もアーティストもストレスフリー! Oh yes!

また、大作ともなるとレンダリングには膨大な時間がかかります。大手プロダクションではレンダーファームを持っているところも多いですが、それでもまかないきれない場合は外部のクラウドレンダリングを使うこともあります。その場合、使った時間で請求されるので失敗は許されません。

ハリウッド映画は日本と比べ物にならないほど予算をかけて作っていますが、余裕があるわけではなく、製作側はどうやってクオリティを高めつつ予算とスケジュールをセーブするか常に頭を悩ませています。「プリビズ」と「ポストビズ」はそのソリューションです。

ジョス・ウェドン監督をはじめ、シビアなハリウッドの第一線で活躍する人たちが口を揃えて大切さを語るのだから、その効果はお墨付き。

日本でも実写映画やタイトなスケジュールの作品で積極的に導入されているので、これからは実写以外でもプリビズやポストビズを入れたワークフローがスタンダードになるかもしれません。

Reference: Vimeo(1, 2, 3, 4), YouTube, CGWORLD.jp

中川真知子

外部リンク(ギズモード・ジャパン)

関連ニュース

Yomerumoをフォローする

Yomerumoから人気記事をお知らせします!

Twitter

おもしろ最新記事

記事一覧

注目ニュース

> もっと見る


掲載情報の著作権はニュース提供元企業等またはGMOアドマーケティング株式会社に帰属します。記事の無断転用を禁じます。
すべての人にインターネット
関連サービス